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2000年に解散してしまいましたが、昔「The Street Sliders(ストリート・スライダーズ、面倒なので以下、スライダーズ)」というバンドがありました。そのメンバーの一人だった「Harry(村越弘明)」はボーカル & ギターを担当していました。Harryはギターのチューニングに通常の「レギュラー・チューニング」以外に「オープン・チューニング」も多用していました。このページではスライダーズのときにHarryが利用していたチューニングを曲別にまとめています。
注
- 再結成と言ってよいのかよくわからないのですが、スライダーズは2023年の5月に武道館で23年ぶりにライブをおこないました。秋にはツアーをするそうです。
- 「そもそもオープン・チューニングってなんなの?」という人はここよりもまずは「ギター - Wikipedia」のようなページを見てください。
- Harryが利用しているチューニングは基本的に、「レギュラー」、「オープンG」、「オープンA」の3つです。
- ただし、上の3つ以外も極めてまれですが利用しています。
- 例えば、オープンAでも、開放弦をオープンAにする単純な方法だけではなく、オープンGにチューニングしたギターの2フレットにカポタスト(カポ)をつけてオープンAにするという方法もありますが、ここでは特に二つを区別していません。
- オープン・チューニングでは一般に「オープンE」や「オープンD」などがよく使われますが、Harryは「オープンE」や「オープンD」は使わないです。EやDのオープン・チューニングはブルースギタリストが、特にスライドギターを使う際に利用することが多いと思いますが、Harryは(The Rolling StonesのKeith Richardsと同じように)ブルースでもスライドギターでもない曲のためにオープン・チューニングを使うというタイプです。
- それと、Harryはオープン・チューニングを使うとき(これもStonesのKeith Richardsと同じですが)6弦は使わないです(元々、ギターに6弦を張りません)。
- ライブで演奏している映像がある場合には、それを使ってチューニングを確認しています。ライブ映像がない場合には基本的には私が推測しています。「映像ソース」の欄にソースが記載されているものは、そのソースを使って確認しています。
- ソースによって異なるチューニングを利用している場合にはチューニング毎にソースを挙げています。
- 映像のソースは公式にリリースされた映像(VHS、DVD、Blu Rayなど)か、youtubeの動画を挙げています。
- 複数のソースが入手可能な曲も多いのですが、各曲につきとりあえず一個だけあげています。
- 「(?)」付きは映像で確認できていないため、あまり自信がないものです。
- ここのでのチューニングはあくまでオリジナルの曲(スタジオ版)で利用されているキー+チューニングを指します。曲によってはライブなどでキーを変更している場合がありますが、ここではそのようなケースは考慮していないです。
- 例えば、『LAST DAY』の中の「TOKYO JUNK」はオリジナルよりキーを全音下げており、チューニングもオリジナルのオープンAではなく、オープンGを利用しています。
『Slider Joint』
|
曲名 |
チューニング |
映像ソース |
1 |
Blow The Night! |
オープンG |
SLIDERS GIG '85 |
2 |
Downtown Sally |
オープンG |
ROCK'N'ROLL DEF' SPECIAL 2019 REMASTER |
3 |
あんたがいないよる |
オープンG |
Harry Sings |
4 |
Jumpin' Shoes |
レギュラー |
BIG BEAT, DANCE '91 |
5 |
すれちがい |
レギュラー |
摩天楼のダンス天国 |
6 |
サテン・ドール |
オープンA |
ROCK'N'ROLL DEF' SPECIAL |
7 |
マスターベイション |
オープンG |
SLIDERS GIG '85 |
8 |
のら犬にさえなれない |
レギュラー |
摩天楼のダンス天国 |
9 |
酔いどれDancer |
オープンG |
苫小牧【阿弥陀】 THE STREET SLIDERS |
|
|
オープンA |
天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987 40th Anniversary Edition |
10 |
Let It Roll |
オープンG |
SLIDERS GIG '85 |
- これがデビュー・アルバムです。
- 10曲中、7曲がオープン・チューニングと、オープン・チューニングの利用が非常に多いです。
- 「酔いどれDancer」はオープンGにしているときとオープンAにしているときがあります。『天国と地獄』でオープンAを使っていますが、こちらのバージョンはオリジナルのスタジオ版とはかなりアレンジを変更しているので、スタジオ版はオープンGかもしれません。ただ、オープンAの方が弾きやすいのではないかと思います。
『がんじがらめ』
|
曲名 |
チューニング |
映像ソース |
1 |
Toa-Lit-Tone(踊ろよベイビー) |
レギュラー |
Toa Lit Tone(踊ろよベイビー)THE STREET SLIDERS |
2 |
So Heavy |
オープンG |
SLIDERS GIG '85 |
3 |
(Nobody Can) Catch Me |
オープンG(?) |
|
4 |
とりあえず, Dance |
オープンG |
1984.8.1 日本青年館 The Street Sliders |
5 |
道化者のゆううつ |
オープンA |
天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987 40th Anniversary Edition |
6 |
Tokyo シャッフル |
オープンG |
SLIDERS GIG '85 |
7 |
鉛の夜 |
レギュラー(?) |
|
8 |
Dancin' Doll |
レギュラー |
天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987 40th Anniversary Edition |
9 |
マンネリ・ブギ |
オープンG |
ROCK'N'ROLL DEF' SPECIAL |
10 |
SLIDER |
オープンA |
摩天楼のダンス天国 |
- セカンド・アルバムの『がんじがらめ』。
- 10曲中、7曲がオープン・チューニングで、これもオープン・チューニングが多いです。
- 「Toa-Lit-Tone」は『天国と地獄』、『ROCK'N'ROLL DEF' SPECIAL』のバージョンでは、キーを変更し、チューニングにオープンGを利用していますが、ここのはオリジナルのキーに対するチューニングです。
- 「(Nobody Can) Catch Me」は映像を確認できないのでよくわかりませんが、たぶんオープンGだと思います。
- 「鉛の夜」はオープンでも弾けると思いますが、たぶんレギュラーだと思います。
『JAG OUT』
|
曲名 |
チューニング |
映像ソース |
1 |
TOKYO JUNK |
オープンA |
SLIDERS GIG '85 |
2 |
No More Trouble |
オープンA |
SLIDERS GIG '85 |
|
|
オープンB |
2000.4.5「ノーカット版」The Street Sliders |
3 |
カメレオン |
オープンA |
SLIDERS GIG '85 |
4 |
OUT DOOR MEN |
オープンG(?) |
The Street Sliders/OUT DOOR MEN(PV) |
5 |
PACE MAKER |
オープンG |
HARRY Pace Maker |
6 |
Feel So Down |
オープンA |
Harry Sings |
7 |
Easy Come, Easy Go |
オープンG |
Get Wet When It Rains |
8 |
All You Need Is Cash |
オープンA |
|
9 |
one day |
オープンA |
1996 BIG SIGHT LIVE |
10 |
チャンドラー |
オープンG |
SLIDERS GIG '85 |
- サード・アルバムの『JAG OUT』は全曲オープン・チューニングです。
- 「OUT DOOR MEN」のPVを見るとHarryがスライドギターを弾いています。チューニングはオープンGだと思います。
- 「PACE MAKER」の映像はHarryのソロでの映像です。
- 「All You Need Is Cash」は映像はないのですが、これはキーがAのスリー・コードの曲であるので、明らかにオープンAだと思います。
- 「No More Trouble」は「オープンA」と「オープンB」を利用しているときもありますが、オリジナルはオープンAだと思います。
- それ以外には、「THE STREET SLIDERS-NO MORE TROUBLE ROCK WAVE 86」のようにオープンGチューニングを利用しているときもありますが、このときには曲のキー自体を半音上げています。
- この動画のコメント欄では、「普段はオープンGにチューニングしている黒いテレキャスをオープンAにチューニングして使っていて珍しい」というようなことが書かれていますが、これはオープンAにしているのではなく、上で書いたように普段通りオープンGにして、かつ曲のキー自体を変更しているというのが正しいと思います。
- 「半音上げ+オープンGに変更」している理由は、オープン・コード(何も弦を押さえないコード)を使えるようになるからだと思います。この曲の元々のキーでは、B、E、F#のコードを多用しますが、オープンAにチューニングしているとこの3つのコードはオープン・コードにならないです。キーを半音上げると使うコードはC、F、Gとなるので、オープンGにチューニングすることでオープン・コードを使えるようになります。オープン・チューニングにしているのにオープン・コードを使えないのは、オープン・チューニングのメリットが生かせませんよね。
|
曲名 |
チューニング |
映像ソース |
1 |
Baby, I'm Really Down |
レギュラー |
摩天楼のダンス天国 |
2 |
パラダイス |
レギュラー |
天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987 40th Anniversary Edition |
3 |
7th Ave.Rock |
オープンG |
1996 BIG SIGHT LIVE |
4 |
TIME IS EVERYTHING TO ME |
オープンG |
摩天楼のダンス天国 |
5 |
NEW DANCE |
レギュラー |
1985.12.31 【RSKTVライブ】ザ・ストリート・スライダーズ |
6 |
今はこれでいいさ |
レギュラー |
NEW AGE MUSIC 【日比谷野外音楽堂】1986.5.24 |
7 |
Let's go down the street |
オープンA |
Harry Sings |
8 |
I DON'T KNOW |
レギュラー |
|
9 |
天国列車 |
レギュラー |
The Street Sliders / 天国列車 |
|
|
オープンA |
天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987 40th Anniversary Edition |
10 |
tsumuji-kaze |
オープンG |
天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987 40th Anniversary Edition |
- 『夢遊病』からはレギュラー・チューニングの割合が増えてきてます。
- そのせいか、これまでとは違う感じの曲が増えてきたように思います。
- 「I DON'T KNOW」は7th(D7)のコードを使っているので、たぶんレギュラーだと思います。
- 「天国列車」はレギュラーを利用しているときと、オープンAを利用しているときがあります。
『天使たち』
- 注:この『天使たち』はCD版の方です。
- 『天使たち』もレギュラーとオープンで半々くらいです。
- 「Up & Down Baby」は映像がないのでよくわからないのですが、これは最初のイントロの部分からしてオープンGかなと思います。
- 「嵐のあと」も映像はないですが、これはそもそもアコギの曲ですから、普通のレギュラー・チューニングだと思います。
『BAD INFLUENCE』
- 『BAD INFLUENCE』もレギュラーとオープンが半々くらいです。
- 「EASY ACTION」ですが、上の動画を見る限り、「オープンG♭」にチューニングしているようです。このチューニングはこの曲でしか使っていないのではないかと思います。
- Harryはライブではアコースティック・ギターで「EASY ACTION」を弾いていることが多く、この「オープンG♭にしたエレキ・ギター」は実際にはほとんど使っていないと思います。私はアコギ・バージョンより、このエレキ・バージョンの方が好きです。
- 「Sunshine Eye Angel」はよくわかりませんので、とりあえずレギュラーということにしています。
- 「風が強い日」はライブでは普通アコースティック・ギターを使っていて、アルバムと同じようなエレキ・ギターのバージョンの映像は見当らないのでよくわからないのですが、レギュラーかなと思います(オープンGでも弾けると思いますが)。
『SCREW DRIVER』
- 『SCREW DRIVER』もレギュラーとオープンが半々くらいです。
- 「かえりみちのBlue」の映像は最近のJoy-Popsの映像です。スライダーズのときと同じチューニングじゃないかということで、これを参考にしています。
- 「いいことないかな」は蘭丸がオープン・チューニングを利用していますが、Harryはレギュラーじゃないかと思います。
『NASTY CHILDREN』
|
曲名 |
チューニング |
映像ソース |
1 |
COME OUT ON THE RUN |
オープンG |
BIG BEAT, DANCE '91 |
2 |
CANCEL |
オープンG |
BIG BEAT, DANCE '91 |
3 |
IT'S ALRIGHT BABY |
オープンG |
BIG BEAT, DANCE '91 |
4 |
FRIENDS |
オープンA |
【The Street Sliders】FRIENDSなど |
5 |
LOVE YOU DARLIN' |
レギュラー |
BIG BEAT, DANCE '91 |
6 |
THE LONGEST NIGHT |
オープンA |
BIG BEAT, DANCE '91 |
7 |
ROCKN'ROLL SISTER |
レギュラー |
BIG BEAT, DANCE '91 |
8 |
安物ワイン |
レギュラー |
Live Tomato 003 THE STREET SLIDERS |
9 |
PANORAMA |
オープンA |
BIG BEAT, DANCE '91 |
10 |
DON'T WAIT TOO LONG |
オープンG(?) |
|
- 『NASTY CHILDREN』もオープンが結構多いです。
- 「DON'T WAIT TOO LONG」はイントロの部分からして、オープンGだと思います。
『WRECKAGE』
- 『WRECKAGE』ではレギューの方が多いです。
- 次の『NO BIG DEAL』でも同じなので、初期と違い、後期はレギュラーチューニングの曲が多いようです。オープン・チューニングの曲はやりつくして、作りにくくなったのかもしれません。
- 「WASTIN' TIME」はオープンGだと思いますが、レギュラーでも普通に弾けそうです。
- 「D.D.DANCE」や「日暮し」はたぶんレギュラーだと思います。
- 「日暮し」だけではなく、「Baby, 途方に暮れてるのさ」、「LOVE YOU DARLIN'」、「夜毎悩ましい街で (Drift away and …)」などのレゲエっぽい曲はレギュラーを使うことが多いようです。
『NO BIG DEAL』
|
曲名 |
チューニング |
映像ソース |
1 |
On The Road Again |
レギュラー |
1996 BIG SIGHT LIVE |
2 |
Can't Get Enough |
レギュラー |
1996 BIG SIGHT LIVE |
3 |
Knockin' On Your Door |
オープンG |
LAST DAY |
4 |
虹を見たかい |
オープンA(?) |
|
5 |
Catch A Fire |
レギュラー |
LAST DAY |
6 |
愛の痛手が一晩中 |
レギュラー |
2000.6.5「ノーカット版」The Street Sliders |
7 |
WANNA DANCE TONITE |
レギュラー |
2000.4.5「ノーカット版」The Street Sliders |
8 |
BIGMOUTH |
レギュラー(?) |
|
9 |
手ブラで来いよ 〜センチメンタルジプシー |
レギュラー |
|
10 |
夜毎悩ましい街で (Drift away and …) |
レギュラー |
1996 BIG SIGHT LIVE |
- 最後のアルバム『NO BIG DEAL』ではレギューがかなり多いです。
- 「虹を見たかい」も映像はないのですが、Harryのソロの「SOLO TOUR 2008-2009 "It's O.K"」の中の演奏からしてオープンAかなと思います。
- 「BIGMOUTH」は使っているコードからして、レギュラーだと思います。
- 「手ブラで来いよ~・・・」 はアコギなので、レギュラーだと思います。
その他のシングル
- ここはシングルのみでリリースされている曲です。
- 「いい天気」は、使っているコードからしてレギュラーだと思います。
リリースされなかった曲
- ここにはライブでは演奏されているが、公式なスタジオ版としてはリリースされていないものをあげています。
- ただし、いくつかはHarryがソロになってから公式にリリースされています。
- 最後の「Persian Blue」はレギュラー・チューニングで2フレットにカポという非常に珍しいチューニングにしています。Harryがレギュラー・チューニングに対しカポを使うのはこの曲以外にないんじゃないかと思います。
最後に
上のようにチューニングのリストをまとめてみると、スライダーズの初期の頃はオープン・チューニングの曲が非常に多かったのが、だんだんレギュラー・チューニングが増えてきたことがわかります。オープン・チューニングを利用する曲は独特の曲調になるので、オープン・チューニングの利用が減ってきたことは、スライダーズの曲自体がかなり変ってきたということを意味していると思います。
修正履歴
- 2023-05-05:『天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987 40th Anniversary Edition』がリリースされたので、その情報を基にいくつか修正しています。